ナクソス・ヒストリカルレーベルのヴェルディ作曲オペラ全曲盤

『椿姫』(1928)※コロムビア

ロレンツォ・モラヨーリ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

メルセデス・カプシール(ヴィオレッタ)、リオネッロ・チェチル(アルフレード)、カルロ・ガレッフィ(ジェルモン)

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1928年、イギリス・コロンビア・レーベルによってSP用にスタジオ録音された、史上3番目の全曲です。ヴィオレッタ役を歌うメルセデス・カプシール(1895-1969)はスペインの歌手で、この《椿姫》や《リゴレット》など、いくつかの全曲録音のヒロインをつとめたことで、その名声を不滅のものとしたコロラトゥーラ・ソプラノです。当時のスカラ座ではこの役はリリコによって歌われていましたが、英米独仏ではコロラトゥーラが歌うことが少なくありませんでした。カプシールの起用はいかにもイギリスの会社らしい選択です。(山崎浩太郎)(2001/06/01 発売)

イル・トロヴァトーレ』(1930)※コロムビア

ロレンツォ・モラヨーリ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

フランチェスコ・メルリ(マンリーコ)、ビアンカ・スカッチャーティ(レオノーラ)、エンリコ・モリナーリ(ルーナ伯爵)、ジュゼッピーナ・ジネッティ(アズチェーナ)

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1930年前後の数年間に、スカラ座のオーケストラと合唱を起用したオペラ全曲盤が多数制作されました。といっても初期のものは歌手の方は若手ばかり、スカラ座の舞台経験のない人が主役をつとめていましたが、30年ごろからの録音では本当のスカラ座のスター歌手たちが多く参加するようになります。この《トロヴァトーレ》はその代表例で、レオノーラ役のスカッチャーティ(1894-1948)、アズチェーナ役のジネッティ(1889-1973)、ルーナ役のモリナーリ(1882-1956)などが花と競います。なかでもメルリ(1887-1976)は輝く高音で知られた人気ロブスト・テノールでした。(山崎浩太郎)(2002/02/01 発売)

ファルスタッフ』(1932)※コロムビア

ロレンツォ・モラヨーリ指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

ジャコモ・リミニ(ファルスタッフ)、ロベルト・ダレッシオ(フェントン)、ピア・タッシナーリ(アリーチェ)、イネス・アルファーニ=テッリーニ(ナンネッタ)、アウローラ・ブアデス(クイックリ―夫人)

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1920年代のミラノ・スカラ座は名指揮者トスカニーニの統率により、その長い歴史の中でも特筆すべき黄金時代を迎えました。その幕開けとなったのが1921年12月26日の《ファルスタッフ》公演で、以後このオペラはトスカニーニの十八番として、彼が29年に退くまで欠かさず上演され続けたのです。当CDのイタリア・コロンビア録音は、この傑作の史上初の全曲録音であるだけでなく、トスカニーニのもとで演奏した、主役のジャコモ・リミニ(1887-1952)など何人かの歌手たちとオーケストラが参加している点で、不滅の価値をもつものです。(山崎浩太郎)(2002/10/01 発売)

オテロ』(1938年2月12日、メトロポリタン歌劇場ライブ)

エットーレ・パニッツァ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団演奏

ジョヴァンニ・マルティネッリ(オテロ)、エリーザベト・レートベルク(デズデーモナ)、ローレンス・ティベット(イアーゴ)

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ヴェルディのオペラのうち、その文学性が飛びぬけて高い「オテロ」。従来のヴェルディ作品の輝かしさだけでなく、各々持つ光と影、純粋さと醜さ、強さと脆さを織り込まなければならないという試練を克服しているのが、このCDのメトを代表する面々です。迫力あるメトの合唱を突き破らんばかりの、登場シーンも圧巻なオテロ役のマルティネッリは、雄々しい英雄がやがて崩壊していく己の様を、その輝かしい声で余すところなく表現。レートベルク歌う定番の「柳の歌」「アヴェ・マリア」は切々たる情に満ちた名唱です。温かみが持ち味のバリトン・ティベットが、奸計をたくらむ悪役に徹しきっている芸達者ぶりも聞き逃せません。(2005/09/01 発売)

運命の力』(1941)※チェトラ

ジーノ・マリヌッツィ指揮トリノ・イタリア放送管弦楽団演奏

マリア・カニーリア(レオノーラ)、ガリアーノ・マシーニ(ドン・アルヴァーロ)、カルロ・タリアブーエ(ドン・カルロ)、エベ・スティニャーニ(プレツィオジッラ)

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第二次世界大戦中の1941年、トリノの放送局のオーケストラと合唱団による全曲盤ですが、主役の歌手たちと指揮者は当時のミラノ・スカラ座で活躍していた人ばかりです。ソプラノのマリア・カニーリャ(1905-79)、メゾ・ソプラノのエベ・スティニャーニ(1904-74)、バリトンのカルロ・タリアブーエ(1898-1978)、バスのタンクレディ・パゼロ(1893-1983)という、イタリアを代表する強力歌唱陣の中でもとりわけ輝きを放つのは、テノールガリアーノ・マジーニ。贅肉のない、雄雄しくも悲劇的な歌声をもったこの名歌手の、数少ない全曲盤の記録です。(山崎浩太郎)(2002/07/01 発売)

『仮面舞踏会』(1943)※イタリアHMV

トゥリオ・セラフィン指揮ローマ王室歌劇場管弦楽団演奏

ベニャミーノ・ジーリリッカルド)、マリア・カニーリア(アメリア)、ジーノ・ベーキ(レナート)、フェドーラ・バルビエーリ(ウルリカ)

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ムッソリーニ時代のイタリアでは、ミラノのスカラ座よりローマのオペラ座の方が重用される傾向がありました。この録音はその終盤、連合軍のイタリア上陸直前におこなわれたものです。そのような緊迫した情勢下にもかかわらず、配役は当時のイタリア・オペラ界のスターたちが集められています。中心となるのは、20世紀最高のリッカルド歌いといっても過言ではないベニアミーノ・ジーリ(1890-1957)。付録ではジーリ以前の人気テノール、アレッサンドロ・ボンチ(1870-1940)や名バリトンリッカルド・ストラッチャーリ(1875-1955)の歌が聴けます。(山崎浩太郎)(2002/03/01 発売)

リゴレット』(1945年12月29日、メトロポリタン歌劇場ライブ)

チェーザレ・ソデーロ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団演奏

レナード・ウォーレン(リゴレット)、ビドゥ・サヤン(ジルダ)、ユッシ・ビョルリング(マントヴァ公爵)

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タイトル・ロールという言葉が存在する通り、オペラのタイトルがそのまま主役の名前になっている例は無数にありますが、圧倒的に女の名が多数を占めています。「リゴレット」は例外の男ですが、プリマ・ドンナならぬプリモ・ウォーモ(男性歌手の絶対的主役)とは言い切れないところ。となれば、リゴレットマントヴァ公とその娘ジルダを加えた三役のうち、力量の大きい歌手が担う役を主役と決めるところですが、このCDのように三巨頭が揃い踏みしてしまうと、如何にすべきか?胆力のウォーレンか、美声麗しきビョルリンクか、名花サヤンか?終幕を終えたとき、あなたはそれを決定するより、ひたすら泣かされているかもしれません・・・。(2000/05/01 発売)

アイーダ』(1946)※イタリアHMV

トゥリオ・セラフィン指揮ローマ歌劇場管弦楽団演奏

マリア・カニーリア(アイーダ)、ベニャミーノ・ジーリ(ラダメス)、エベ・スティニャーニ(アムネリス)、イタロ・ターヨ(アモナスロ)

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1930年代から40年代のイタリア・オペラ界の、オールスターによる《アイーダ》です。ローマ歌劇場スカラ座の対抗馬として、ファシスト時代に著しく陣容を強化されましたが、第2次世界大戦終了1年後のこの録音の時期にも、その余韻は充分なまでに残っていました。指揮は34年以来この歌劇場の指揮者をつとめるトゥリオ・セラフィン(1878~1968)、ラダメスにはベニアミーノ・ジーリ(1890~1957)。このテノールは10年程前からこの役を歌いはじめ、この時期には十八番のひとつとしていました。他の配役にもベテラン歌手たちが勢ぞろいしています。(山崎浩太郎)(2001/10/01 発売)

『椿姫』(1949年1月22日、メトロポリタン歌劇場ライブ)

ジュゼッペ・アントニチェッリ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団演奏

エレノア・スティーバー(ヴィオレッタ)、ジュゼッペ・ディ・ステファノアルフレード)、ロバート・メリル(ジェルモン)

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イタリアのテノール、ジュゼッペ・ディ・ステーファノ(1921~ )は、デビュー3年目の48年にアメリカのメトロポリタン歌劇場に初登場、情熱的な歌唱でニューヨークのオペラ・ファンたちの寵児となりました。この《椿姫》は当時のメトの聴衆たちの熱狂ぶりがつたわってくるライヴ録音です。ヒロインを歌うスティーバー(1916~ )はアメリカ生まれ、40年から63年まで長くメトのプリマ・ドンナとして活躍したソプラノです。この2人にジェルモン役のメリル(1919~ )を加え、主役3人がいずれも30才前後という、名歌手たちの若き日の競演をお楽しみください。(山崎浩太郎)(2001/01/01 発売)

リゴレット』(1950)※RCAビクター

レナート・チェリーニ指揮RCAビクター管弦楽団演奏

レナード・ウォーレン(リゴレット)、エルナ・ベルガー(ジルダ)、ジャン・ピアース(マントヴァ公爵)

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イル・トロヴァトーレ』(1952)※RCAビクター

レナート・チェリーニ指揮RCAビクター管弦楽団演奏

ユッシ・ビョルリング(マンリーコ)、ジンカ・ミラノフ(レオノーラ)、レナード・ウォーレン(ルーナ伯爵)、フェドーラ・バルビエーリ(アズチェーナ)

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LPの商品化により、欧米各国ではさかんにオペラの全曲録音が行なわれるようになりました。アメリカのRCAもライバルのコロンビア(現在のソニー)と競って、メトロポリタン歌劇場で活躍する歌手たちを主役に全曲録音を開始したのです。この《トロヴァトーレ》はRCA初期の代表的なオペラ録音として知られるものです。契約の関係でメトロポリタンのオーケストラや合唱団は使えませんでしたが、「スウェーデンのカルーソー」と称えられたユッシ・ビョルリンク(1911-60)を中心に、歌手はみな当時のメトの客席を沸かせたスターたちです。(山崎浩太郎)(2003/07/01 発売)

アイーダ』(1952)※デッカ

アルベルト・エレーデ指揮ローマ聖チェチーリア音楽院管弦楽団演奏

レナータ・テバルディアイーダ)、マリオ・デル・モナコ(ラダメス)、エベ・スティニャーニ(アムネリス)、アルド・プロッティ(アモナスロ)

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このCDは1952年にイギリス・デッカが録音したモノラルLPの覆刻盤です。マリオ・デル・モナコ(1915-82)とレナータ・テバルディ(1922- )はLP初期のデッカ・レーベルのオペラ全曲盤で大活躍したコンビですが、この《アイーダ》はデル・モナコがデッカに録音した最初の全曲盤で、テバルディとのコンビによる初のオペラ録音ということになります。なおデル・モナコは55年以降、ラダメス役を限られた機会にしか実演では歌わなくなりました。同様に商業録音でもこの後は歌っておらず、当盤が唯一のスタジオ録音盤となっています。(山崎浩太郎)(2004/01/01 発売)

『椿姫』(1953)※チェトラ

ガブリエーレ・サンティーニ指揮トリノRAI交響楽団演奏

マリア・カラスヴィオレッタ)、フランチェスコ・アルバネーゼ(アルフレード)、ウーゴ・サヴァレーゼ(ジェルモン)

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「椿姫(ラ・トラヴィアータ)」はマリア・カラスがことのほか愛したオペラでした。このCDで聞ける「椿姫」は、カラスが英国EMIと専属契約を結ぶ直前にイタリアで録音したもので、彼女がスタジオで録音した唯一の「椿姫」です。スター街道驀進中の若々しいカラスの声が聞ける貴重な記録でもあります。このCDは良質なCETRAのLPからウォード・マーストンが新たに復刻したもの。エコーやステレオ・エフェクトなどの余計な効果を一切用いず、発売当時の音質をそのまま今に蘇らせることに成功しています。(2005/04/01 発売)

運命の力』(1954)※コロムビア=EMI

トゥリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

マリア・カラス(レオノーラ)、リチャード・タッカー(ドン・アルヴァーロ)、カルロ・タリアブーエ(ドン・カルロ)、エレーナ・ニコライ(プレツィオジッラ)

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どんな役でも易々と歌いこなすカラスですが、この「運命の力」はあまり歌う機会に恵まれなかったようです。舞台でも5回、録音は1回のみという少なさですが、ここで聴けるレオノーラには、他の歌手を圧倒する力強さと輝かしさが存分にあるのです。とりわけ第4幕のアリア「神よ平和を与えたまえ」での凄味は絶品。共演者たちの名唱も聴きどころです。マーク・オーバート=ソーン復刻(2008/04/09 発売)

ドン・カルロ』(1954)※HMV=EMI

ガブリエーレ・サンティーニ指揮ローマ歌劇場管弦楽団演奏

マリオ・フィリッペスキ(ドン・カルロ)、ボリス・クリストフ(フィリッポ2世)、アントニエッタ・ステッラ(エリザベッタ)、ティート・ゴッビ(ロドリーゴ)、エレーナ・ニコライ(エボリ公女)

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ヴェルディの作品にとどまらず、オペラの中で最も長大で錯綜した悲劇である「ドン・カルロ」。この愛憎劇を表出するためには、高声の歌手のみならず、低声の歌手にも十分な力量が求められ、また長丁場のドラマをたゆみなく演奏し進めるには、指揮者の卓越した技量が問われる、という厳しさが求められます。それゆえ名盤は数少ないのですが、最も高く評価されているもののひとつが、61年のサンティーニ盤。そしてそれに比肩するのが、この54年盤のCDです。低声の歌手たちに、気高き重厚さを持つクリストフ、ゴッビの美しさ、ニコライの奔放さと取り揃えた豪華なるキャスティングです。(2007/03/01 発売)

アイーダ』(1955)※RCAビクター

イオネル・ペルレア指揮ローマ歌劇場管弦楽団演奏

ジンカ・ミラノフ(アイーダ)、ユッシ・ビョルリング(ラダメス)、フェドーラ・バルビエーリ(アムネリス)、レナード・ウォーレン(アモナスロ)

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声質は澄み、厚みがあり、ピアニシモから一気に膨らみ上がる強烈なフォルテシモ。その劇的な表現力を持つミラノフは、まさにドラマティコ中のドラマティコ・ソプラノの名花でありました。2幕最終場でのハイEsへの跳躍こそないにしろ、彼女のゆらぎのない声は合唱を圧倒し、高らかに響きわたります。胆力あふれるウォーレンに、「永遠の青年」の美声を持ったビョルリンク、加えてクリストフが集うという、当時としては最高のメンバーによる、最強の「アイーダ」です。ボーナス・トラックの「仮面舞踏会」もハイライトながら聞き所満載。若きピーターズがリリックでユーモラスな歌声を披露しています。(2006/08/01 発売)

アイーダ』(1955)※コロムビア=EMI

トゥリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

マリア・カラスアイーダ)、リチャード・タッカー(ラダメス)、フェドーラ・バルビエーリ(アムネリス)、ティート・ゴッビ(アモナスロ)

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カラスの「アイーダ」と言えば、メキシコ・シティーで50年にバウム(ラダメス)、51年にデル・モナコ(同)と共演した際の、伝説的な3点Esへの跳躍が語り継がれていますが、それなくとも偉大なカラスの劇的歌唱は、このグランド・オペラにおいて燦然と輝いています。「勝ちて帰れ」などで見せる力強さと繊細さ、同時代においてこれだけの表現力を持つ歌手を挙げることは難しいでしょう。オバート=ソーンによる優れた復刻技術によって、カラスのみならず、タッカー、バルビエリらの声もきわめて鮮明に再現されたこのCDは、スカラ座に於ける録音のうち、もっとも印象深いものとなってよみがえりました。スペクタキュラーな興奮が存分に味わえる一枚です。(2007/03/01 発売)

リゴレット』(1955)※コロムビア=EMI

トゥリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

ティート・ゴッビ(リゴレット)、マリア・カラス(ジルダ)、ジュゼッペ・ディ・ステファノマントヴァ公爵)

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リゴレット」は、タイトル・ロールがバリトンであることからわかるよう、通常主役となるソプラノ、テノール以外の役にも、重責が担われるオペラです。父性と娘の愛が招く悲劇を緊密に作り上げるには、選りすぐりの歌手たちが求められます。このCDに出演しているのは、最盛期のディ・ステファノを始め、美声あるいはドラマティックな表現に秀でた選ばれしスターたち。チェプラーノ伯爵夫人といった脇役までもが、味のある歌唱を聞かせます。ポピュラーなオペラゆえ録音は数多く存在しますが、ひたすら歌に耳を傾けるだけでも満足できる稀有の名録音です。オバート=ソーンの復刻による、音質のよさも特筆できるでしょう。(2007/03/01 発売)

『椿姫』(1955)※コロムビア=EMI

トゥリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

アントニエッタ・ステッラ(ヴィオレッタ)、ジュゼッペ・ディ・ステファノアルフレード)、ティート・ゴッビ(ジェルモン)

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この1955年の公演も本来ならマリア・カラスによって録音されるはずでした。しかし、契約の関係でそれは実現せず、替わりに登用されたのが26歳の若手、アントニエッタ・ステッラだったのです。カラスのような迫力はありませんが、艶のあるしっとりとした声と細やかな表現が魅力です。この声と恵まれた容姿を生かし大歌手へと駆け上った彼女の輝かしい記録をお楽しみください。最盛期のディ・ステファノのうっとりするような美声にも大満足です。(2008/02/06 発売)

リゴレット』(1956)※RCAビクター

イオネル・ペルレア指揮ローマ歌劇場管弦楽団演奏

ロバート・メリル(リゴレット)、ロバータ・ピータース(ジルダ)、ユッシ・ビョルリング(マントヴァ公爵)

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イル・トロヴァトーレ』(1956)※コロムビア=EMI

ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

ジュゼッペ・ディ・ステファノ(マンリーコ)、マリア・カラス(レオノーラ)、ロランド・パネライ(ルーナ伯爵)、フェドーラ・バルビエーリ(アズチェーナ)

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通常、このオペラにおいてレオノーラの存在感はあまり大きくありません。なぜなら人はマンリーコの高音とアズチェーナの恨み節に酔うからです。しかし、カラスが加わると全く様相は変わります。彼女がいればこそ伯爵とマンリーコは激しい炎を燃やし、アズチェーナはどす黒い復讐の念を燃やすのです。若きカラヤンのタクトの下、緊迫のドラマの幕が開きます。 マーク・オーバート・ソーン復刻(2008/04/09 発売)

『仮面舞踏会』(1956)※コロムビア=EMI

アントニーノ・ヴォットー指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏

ジュゼッペ・ディ・ステファノリッカルド)、マリア・カラスアメリア)、ティート・ゴッビ(レナート)、フェドーラ・バルビエーリ(ウルリカ)

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マリア・カラスの「仮面舞踏会」と言えば、この録音の他に1957年のライヴ録音がありどちらも名演として名高いものです。名指揮者ガヴァッツェーニによると、彼女の声は落ち着きすぎていたため、アメリアをうまく歌うためには声に悲しみの色をつけなくてはいけなかったそうで、そのため歌には一層深い表現力が備わり、まさにこの世のものとも思われぬ素晴らしさになったのです。彼女なしには成り立たない完璧なヴェルディです。マーク・オーバート・ソーン復刻(2008/04/09 発売)

シモン・ボッカネグラ』(1957)※HMV=EMI

ガブリエーレ・サンティーニ指揮ローマ歌劇場管弦楽団演奏

 ティート・ゴッビ(シモン)、ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(アメーリア)、ジュゼッペ・カンポーラ(ガブリエーレ)、ボリス・クリストフ(ヤーコポ)

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14世紀の忠誠と反逆の物語。台本は多少強引ではありますが、愛と政治を巡っての激しいドラマ展開はヴェルディ(1813-1901)ならではの世界です。指導者として、親として、敵を許しながら死に赴く主人公の感動的な姿、そして運命に翻弄される周囲の人々。これぞまさに男たちのロマンです。渋いオペラですが聴けば聴くほどに感動が深まることでしょう。「この役を歌うためなら世界中どこへでも行く」と言ったというゴッビの熱唱をどうぞ。(2009/04/22 発売)